心が感じたままに

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View of Life 〜 やりきれない気持ち

ここ何度かに渡って音楽の解説をしています。

今回は「View of Life」という曲が生まれたときの背景を語りたいと思います。

やりきれない気持ちから生まれた曲

この曲はやりきれない気持ちから生まれた曲です。

深夜0時にギターを抱えてマイクに向かって即興演奏しました。単純なフレーズを録音した後に今度は別のギターに持ち替えて、フレーズに寄り添うように伴奏しました。

ここからエレピを演奏して、その後は思いつくままにリズムを重ねて、アコースティックベースを演奏しました。最後にアコーディナを演奏しました。自分一人の即興セッションで生まれた曲です。そのときには曲のタイトルはありませんでした。

ただファイルには「2016-12-08」とだけ記しました。レコーディングは2016年の12月9日なのですが「2016-12-08」としたのは、この前日の出来事を決して忘れてはいけないと思ったからです。

なぜなら、この前日の夕刻に短い生涯を閉じた愛犬「いと」。その亡骸を傍らに置いて深夜の一人セッションから生まれたのがこの曲、「View of Life」だからです。

人の手ではどうすることもできないもの

悪性リンパ腫という病魔に冒された、まだ4歳のシーズー犬「いと」。奇跡を信じて、お金も時間も自分の出来ることすべてを費やしました。

当時、動物にも免疫療法を行っている病院を見つけ、片道2時間、治療に3時間、週3回通いました。暑い中、冷房をがんがんに効かせた車内、いつも寄り添うように、何か楽しいことを期待するかのように無邪気に喜ぶ「いと」、そして道中の殺風景な景色、ラーメンチェーン店の汚れた看板、いつも車を洗浄している中古車販売店の店員、早めに車線変更しないと進路変更できない国道、必ず渋滞になる信号、すべてを今でも鮮明に覚えています。

一番最初に診断して化学療法を行ってくれていた、かかりつけの動物病院の医師にも「嘘」をついて、独断で別の病院の免疫療法に切り替えた経緯。結果として親身になってくれていた医師を騙してしまった。身近に誰一人として相談する相手がいなかった状況。人としてその行いが正しいかどうかを考えるよりも、そのときは少しでも可能性を見せてくれるものにすがりつくのが精一杯でした。

必ずなんとかなる、強い思いがあれば出来ない事は無い、そう信じて疑わない、否、そう信じていたかった自分の思いもあっけなく崩れ去りました。5歳の誕生日を過ぎて、数ヶ月後に病状は悪化してあえなくこの世を去ってしまいました。

最後の瞬間にも立ち会うことが出来ず、到着したときにはもうすでに心臓マッサージの最中でした。この世の最後に目にした景色が病院の白い壁。最後の瞬間に誰にも触れてもらうことができず、一人でどれほど怖い思いをしたのだろう。自分はこれまで何をしてきたのだろう。ほんとうに最良の選択が出来たのだろうか。自分を責める日々が続きました。

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ただひとつわかったこと。

その時その時に選択するもの、それが正しかったのか間違っていたのか、そんなことを考える以前に人の手にはどうすることが出来ないもの、ただ受け入れるしかないものがあって、「ほんの瞬間の出来事」をただ眺めることしか出来ないもの、そういうものがあるということ。

それは正しいとか正しくないとか、そんなこと以前にただそこにあって、それを人生の中で眺めて受けいれるしかないもの。「死」とはそういうもので、存在するのは「死」より前にあったものと「死」以降に感じることだけ。残されたものがふわふわと心を漂わせては、時の流れの狭間で「ほんの瞬間の出来事」の前と後を眺め続けているということ。

View of Life



そんな中で生まれた曲が「View of Life」です。


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それでも続く日常

どんなに個人的な事情があろうとも、そんなこととは無関係に日常は過ぎ去っていきます。人は過去の重みを感じながらも、日々少しずつ未来へと歩みを進めます。

過去の残像を心に残しながらも現在を見つめ、未来へと向かっていきます。そして未来へと向かう過程で選択するのは、過去の名残、或いは過去に手に入れ損ねたものの影。いずれにしても未来の選択において、過去からの様々な影響を避けることはできません。

そうやって積み重ねた日常は、少しずつ過去の痛みを取り去ってくれます。過去の残像と目の前にある現在が微妙に混ざり合って、自分だけの新しい未来を作っていくのです。

 

そんな中で、今日届いたささやかなメッセージ。

過去の痛みが和らいだ今、これから生まれる素晴らしい未来の夢を思い描いています。

それは儚く消え去った夢のような日々。そういった日々は自分自身の中で生まれ変わって、またこの手に取り戻すことが出来るということ。

自分と共に過ごした日々、その時からずっと存在している「希望」がそれを可能にしてくれます。時間がたって景色が入れ替わって姿形が違っても、過去から続いている思いは同じ物なのです。

その「希望」はこれからもずっと語り続けていくつもりです。それは、自分がこれからも作り続ける音楽が姿形を変えながら綴ってくれることでしょう。

この記事を書いた人

[Music Freaks]
日々、ピアノを弾くことで生計を立てています。アコーディオンも弾きます。そしてひたすら音楽製作してます。人の多い場所と鈍感な人、苦手です。音楽と共に生きてくことは愉しい、すべての人がそう思えるような世界を考えていきたいです。

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