4月3〜5日の3日間、クリエイターEXPOに出展します。東京ビッグサイトで行われるクリエイターの見本市です。
クリエイターEXPOではストーリー原案にあわせた音楽の出展を予定しています。これはアニメ映像化を想定した原案に付随する音楽を作成したものです。
ひとりの少年と犬の物語
ふとした理由からイジメのターゲットになってしまった、中学生の晴輝(ハル)。
彼が心を許せる相手は背中にハート模様のある、フレンチブルドッグのココロ。唯一のこの友達が悪性リンパ腫になってしまいます。奇跡をひたすら信じて、犬を救うためにハルの奮闘の日々が始まります。物語を通じていろんな人と出会い、助けられながら、少年が成長していく姿を描いています。
忘れられない大切な日々の記憶。
音楽「ココロのいと」
ストーリー原案にあわせて制作した音楽です。
曲自体は2016年の12月に愛犬が亡くなったときにピアノで即興的に作りました。曲のモティーフは基本となるストーリーテーマと同じ背景です。その後、曲を奏でることで哀しみを思い出してしまうこともあって、そのままにしていました。
今回、クリエイターEXPOに出展の為に手つかずのこの曲を仕上げました。
「ココロのいと」を聴く
曲中に登場する楽器でハーモニカのような音は「アコーディナ」という楽器です。
鍵盤ハーモニカの元になる楽器で、オリジナル版は70年代に製造中止されています。現在では復刻版も数多く制作されています。曲中で使用しているのはオリジナル版で、鍵盤ハーモニカよりも倍音成分が非常に多く含まれていて、甘い音色の中にも独自の歪んだサチュレーションをかけたような音が特徴です。
アコーディナについてはコチラの記事でも解説しています。
曲は基調F-Durから最後はH-Durで終わります。これは大切なものが手の届かない遠いところにいったことを示唆しています。その他、フレーズや曲中に個人的なものも含めて、いろいろなメッセージが隠されていますが、曲の印象はあまり作曲者自身が語るのではなく聴く人の手にゆだねたいと思います。
ストーリー概要
ストーリー「ココロのいと」 (「奇跡の時間」から「ココロのいと」に改題) 原案 おがたゆう
Chapter 1
両親が離婚して、母の実家で祖父と3人で暮らすことなった中学生の晴輝(ハル)。慣れない土地、空想の世界に引きこもりがちなハルにとっての唯一の友達は、別れた父が残していった背中にハート模様のあるフレンチブルドッグのココロ。
ハルは母に気を遣って父の話題になるべくふれないようにしにしています。そんなハルにとってココロは唯一の友達というだけでなく、父とつながるための大切な思い出でもあったのです。
Chapter 2
転向してきた初日、お弁当を忘れてしまったハル。母親が授業中に忘れたお弁当を持ってきます。このことがきっかけで、クラスの中でも野蛮な少年、太志(フトシ)たちのグループにからかわれ始めます。
ちょっとしたきっかけで一度からかわれ始めると、常習的なイジメに変わっていきます。ハルは何かとフトシたちのグループに、ちょっかいをかけられるようになってしまいます。
Chapter 3
フレンチブルドッグのココロの食欲がない。ハルは祖父と一緒に近くの動物病院に行きます。首に小さなしこりがあり、細胞を検査した結果、悪性リンパ腫の可能性がありと診断されます。抗がん剤治療である程度の効果はありますが、その場合でも余命は1年ほどと知らされます。
なんとかココロを救う方法はないかとインターネットで検索してみたところ、隣町で動物に免疫療法を行っている病院があることを知り、ハルは早速尋ねてみることにします。
Chapter 4
隣町の動物病院は白石愛菜(シライシマナ)という女医と若い女性スタッフだけで開業している、小さな病院。免疫療法は極力抗がん剤の使用を避け、身体に負担をかけずに自己免疫力を頼りに癌を抑制する治療法であることを教えられます。
ハルはこの病院で治療を受けている芽久(メグ)とシーズー犬のイトに出会います。イトはこの免疫療法で奇跡的な効果が出て、学会でも治療成果が発表されるとのことでした。イトは癌が寛解状態(癌が押さえこれている状態)で元気に過ごしていました。
ハルはメグとイトとの出会いから、少しずつ希望が生まれ始めます。
Chapter 5
祖父が年金貯金の中から毎月の治療費を出してくれることになり、免疫療法を受けることになったココロ。少しずつ回復の兆しが見られて、楽に散歩も出来るくらい元気になりました。
ココロをつれて病院の帰り道、ハルはフトシたちのグループに出会ってしまいます。丁度、サバイバルゲームに興じていた彼ら。ハルとココロを見つけるなり、ココロを標的にしてエアガンで遊び始めます。最初は逃げ回っていたハルですがココロに命中したのを見て、近くにあった角材を拾って反撃します。そのとき、通りかかった通行人の女性に警察へ通報されてしまいます。
Chapter 6
フトシたちの怪我はたいしたことがなかったものの、警察沙汰になってハルの母親は激怒。また隣町までのココロの通院、祖父の年金貯金を使っていることも始めて知り、お金のかかる免疫療法そのものに反対します。ココロのことは別れた夫の犬ということもあり、あまり好ましく思っていなかったのです。
そんな折、ハルの良き理解者でもある祖父が心不全で急死します。お葬式の日にフトシが家に尋ねてきます。治療中のココロにイタズラしたことを謝りに来ました。彼は最近、母親を癌で亡くしたところだったのです。授業中にお弁当を持ってきたハルの母親を見てうらやましさと嫉妬があったのです。
Chapter 7
祖父の年金貯金が使えなくなって、ハルは食材宅配のバイトを始めます。中学生である事を知っていながらも、事情を知った犬好きの宅配業者の社長。アシスタントとして車に乗せてくれることになりました。フトシも家業の板金塗装を手伝って協力してくれました。フトシのグループも協力してくれて治療費にはなんとか困らなくなりました。
偶然、宅配先にメグの家がありました。そこには真っ赤なスポーツカーが止まっていました。玄関先で出会ったメグに、車は母親の新しい恋人、風間仁(カザマジン)のもの。彼はこの街の大きな動物病院の獣医師であること。シーズー犬のイトはそちらで見てもらうことになったことを知らされます。
Chapter 8
すっかり良くなったココロ。フトシたちのグループと河原でココロと共に遊ぶハル。しかしココロは完治したわけではないので、常に不安とは背中合わせ。でも哀しみの中から生まれた「奇跡の時間」、たくさんの人に助けてもらった日々にハルは感謝をするのでした。
ふと見るとひとりで泣いている少女を見つけます。よく見るとシーズー犬のイトと一緒にいたメグです。そしてイトが死んでしまったことを知らされます。新しい病院での治療は苦痛を伴うもので、最後は飼い主に無断で医師に安楽死させられたことを知ります。今の日本の法律でその行為は罪に問われないことを知り、ハルは愕然とするのです。
Chapter 9
20年後、ハルは獣医師になっています。
そしてココロとの最後の時間を思い出しています。3年と余命よりは長く生きられたものの、長期の治療で肝機能障害を引き起こしてしまいます。病院に検査入院中に容体が悪化します。懸命に心臓マッサージをする医師のシライシマナ。小さな身体が押さえつけられ、何度も跳ね上がるのをみて、ハルは涙ながらに処置を中止してもらいます。
ココロと過ごした貴重な時間。空想の世界のような奇跡は起きなかったけど、たくさんの小さな奇跡も起こりました。フトシとはあれからもずっとつきあう唯一の友達になりました。メグは動物看護士となり、ハルの生涯の伴侶にもなりました。そして、獣医師カザマジンの赤いスポーツカーが、一晩で何者かによって不格好な車に改造されていたこともすかっり過去の記憶となりました。
自分から懸命に求めることで、大切な何かを失うことはあっても、別の大切なものを得られることがある、という事をハルは知ります。自分から行動することで「こころのいと」はつながっていくということを知るのです。ココロとの時間がたくさんの人との糸を紡いでいったのです。
ハルはココロと過ごした日々によって、ひとりで空想に浸っていた少年の殻を捨て去って、現実の世界で新しい自分と向き合うことが出来る大人に成長しました。
最後に
物語を通じて、愛犬を亡くして自分を責め続けて苦しんでいる方々の、心の負担を少しでも楽に出来たらと思います。また、日本国内ではペットは法律上、命という存在ではなくモノでしかないこと、獣医師の倫理観などの問題定義もしたいと思っています。
この物語の登場人物はある一定の人たちをモデルにしているものの、実際には存在しない架空の人物たちです。当然ながら物語に登場する動物病院も架空のものです。また現在の医学で免疫療法だけをもってして、癌を完全寛解状態に持って行くのは非常に困難ある事を付け加えておきます。しかしストーリーそのものは事実を元に構成しています。
最後の最後に、
望まない安楽死で亡くなったシーズー犬の「まな」に、 悪性リンパ腫で死んでしまった5歳の「イト」に、
そして日夜、 寝食も忘れて治療にあたっている獣医師の先生方に
この物語を捧げます。
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この記事を書いた人
[Music Freaks]
日々、ピアノを弾くことで生計を立てています。アコーディオンも弾きます。そしてひたすら音楽製作してます。人の多い場所と鈍感な人、苦手です。音楽と共に生きてくことは愉しい、すべての人がそう思えるような世界を考えていきたいです。
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