心が感じたままに

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AIでよみがえった「美空ひばり」

NHKスペシャルで興味深い番組を観ました。「美空ひばり」没後30年を記念して、AI(人工知能)で蘇らせるプロジェクトです。音楽制作でも最近何かと話題の多いAIテクノロジー。今回はこの番組を観た感想とAIの可能性について書いてみたいと思います。

NHKスペシャル

私の家にはテレビがありません。だから毎週日曜日に実家に帰ったときに、リビングのTVがしゃべっているのを眺めています。自発的に観るのは同日夜の動物番組とNHKスペシャルのみです。

NHKスペシャルは何度か知り合いの作曲家が番組テーマを担当していたこともあって、実家に行くと必ず観ています。

今回はAI(人工知能)と音楽がテーマということで、特に興味深く観ました。また伝説の歌手「美空ひばり」をテーマに持ってきているところも面白いなと思いました。

NHKスペシャル「AIでよみがえる美空ひばり」参照リンク

番組インタビュー記事


写真提供:NHK

この番組をごらんになられていない方はこちらから動画をご覧になれます。

このテーマの魅力

特に興味深かった部分はAIで音声合成を担当されていた、ヤマハのチームの方々が仮チェックの段階で、かなり痛烈なだめ出しを食らっていたところ。音声を楽譜のどおりに歌わせていて、「人間味」が感じられないといわれていました。いわゆる演奏でいう「タメ」の部分が全くないんですね。

あと番組で本物の「美空ひばり」の声を私自身聴いていて「倍音のコントロールすごいな」と思っていたのですが、そこの部分も「AIには足りない」としっかり指摘されていましたね。

AIテクノロジーで音声を合成していく部分よりも、人が微妙に感知する部分を修正していくところにこのプロジェクトの面白さを感じました。人を感動させる為には、AIでは計算することできない人が感知する部分を微調整しながら完成させるという部分に、開発に携わった方々の努力の素晴らしさを感じました。



全体を通してAIテクノロジーよりも、目標に向かって進む人たちの連帯感のようなものが「もうひとつのテーマ」に置かれているように感じました。

たとえば今回のプロジェクト用の新曲を作ったのはAIではなく人の手によるものです。また、衣装やヘアデザイン、振り付けも「美空ひばり」と深い縁のある方々が関わっています。

またAIでよみがえらせるために、「美空ひばり」がプライベートで語っている音声テープという「貴重な資料の提供」をご子息自身がなさったこと。

このプロジェクト完成には、すべてにおいて人と人とのつながりが重要な役割を果たしているのです。

AIの美空ひばりの感想

番組の中では「AIプロジェクト」を進行している場面ににあわせて、本物の「美空ひばり」の歌う映像が何度か流れます。

こちらのほうが本気で凄いです。私自身はこちらのほうに圧倒されていました。今更ながら「美空ひばり」の凄さを感じました。ひとつひとつの言葉の中に含まれる表現の情報量は、一人の芸術家が人生の中で得られた数え切れないほどの喜びと悲しみが込められているのです。

それは計算から得られる反応の蓄積ではなく、人の中に存在する愛情と怒りと哀しみがドロドロに混じって、最終的に濾過されて浄化された美しいものを、一人の芸術家がその人の意思と生命の力で表現しているのです。

AIの「美空ひばり」は見事としかいいようがありませんが、それだからこそ本物の凄さがいっそう伝わってきました。もうそれはAIで比較できるレベルではないのです。あれだけの技術を持ってしても、本物の芸術家の凄さは表現しきれることはないということがハッキリわかりました。

それは表現者の自身の心です。

表現者自身の喜びや悲しみ、そしてその奥にある愛、すべてはその人しか持ち得ないもので、その人しか表現できないものなのです。それは何かを伝えようとしている本人の意思からでしか、生まれることがないものです。

そのことを今回の番組で私は強く感じました。

AIは人を感動させることが出来るのか

今回の番組の中でAI「美空ひばり」の公演を、会場でご覧になられていたオーディエンス方々は本当に感動していました。これは私自身思うに、AIの演奏表現が素晴らしかったのではなく、彼らの記憶の中にある「素晴らしい芸術家」の思い出とリンクしたのだと思います。ベーシックに「美空ひばり」の素晴らしい演奏の記憶があり、AIはそれを蘇らせた「トリガー」になっただけと思います。

番組の最後に秋元康氏がこのことを示唆する発言をなさっています。



「最新テクノロジーによって「人の心の中にある夢」を実現させることが、どれほど素晴らしいかということを実感しました」

これはAIで「美空ひばり」をよみがえらせるプロジェクトではなくて、最新テクノロジーを使って「人の心の記憶に中に語りかける」、夢を実現するプロジェクトだったのです。

先に書いたように、AIが人という表現者を超えることは今後もないでしょう。そこには人が感じる屈辱感不条理、そしてそこを乗り越えた優しさ、そういったものがAIに理解し共感することは不可能だからです。

最新のテクノロジーによって「夢を実現」させるという部分では、AIは人を感動させることが可能でしょう。しかし一人の人間が生み出す、深い苦悩を乗り越えた愛のようなものを表現する能力が最新テクノロジーから生み出されるとは思えません。AIアーティストが「美空ひばり」のような表現者を超えることは今後もないといえます。

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この記事を書いた人

[Music Freaks]
日々、ピアノを弾くことで生計を立てています。アコーディオンも弾きます。そしてひたすら音楽製作してます。人の多い場所と鈍感な人、苦手です。音楽と共に生きてくことは愉しい、すべての人がそう思えるような世界を考えていきたいです。

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