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Orb Composer 1.5 新機能 レビュー

Orb Composerが1.5にヴァージョンアップしました。新機能にMidi Editorやスマートメロディを搭載して、かなり充実した内容です。

Orb Composerとは

Orb Composerは2018年の春に華々しくリリースされました。AIで作曲支援(厳密には編曲支援)をするソフトウェアということで当時かなり話題になりました。

当時のレビュー記事はこちら↓ 簡単な使用方法も書いています。

Orb Composer レビュー

ただ当時は未完成の部分やバグも多く、またDAW依存型のソフトウェアであったため、使い勝手もそれほど良くありませんでした。興味半分の人たちはほとんど使わなくなっていきました。私も当初は意欲満々でインターフェースも好みだったのですが、バグ改善を待っているうちに実質的に音楽制作では使用することはありませんでした。

その後、アップグレードのたびに細かい改善を加えていき、前ヴァージョンではVSTプラグイン音源が直に使えるようになりました。またAoudioファイルのインポート機能もつき、DAW依存型のソフトウェアからスタンドアローンのソフトウェアとして一歩前進しました。もちろん、従来どおりのDAWとの連携も可能です。

新機能

今回のアップグレードは1.4から1.5へメジャーアップグレードです(改定価格前に購入した、一部の初期ユーザーは無料アップグレード)。早速、新機能を見てきたいと思います。

新しくなった AIエンジン

新しいヴァージョンになってから、AIそのものをアップグレードしたようです。少し使用してみて感じたのは、かなりアレンジの幅が広がって精度が上がっている感じがします。少々無茶なコード進行やスケールを入れても整合性を保つようにアレンジしようとします。

Midi Editorでコントロール

ユーザーから最も要望が多かった機能です。通常のDAWと同じようにmidiデータをピアノロールでコントロールできるようになりました。コントロールチェンジの情報も使用できます。VSTプラグインで音源やエフェクターも使えるようになりましたので、ちょっとしたデモ・テイクならOrbComposerだけで完結できそうです。

スマートメロディ

今回のアップグレードの目玉といえる機能かもしれません。メロディを入力したmidiデータを読み込ませることで、OrbComposerが自動でアレンジをします。アレンジはワンクリックで変更できます。この機能とMidi Editorの機能を組み合わせることで、より早くイメージに近づけることが容易になりました。

進化したコード機能

初期の頃とは比べものにならないくらいに、コードのヴァリエーションが充実してきました。コード機能とスケールとの組み合わせで、楽曲の中での必要な和声はほとんど組むことが出来そうです。変則的な和声に関しては、細かくMidi Editorで修正も出来ます。

DRUM Editorの追加

Midi Editorが追加されてアレンジお任せのソフトウェアから、音楽家自身が創作するソフトウェアという立ち位置を強化しています。新しく追加された、Drum Editorはリズムセクションの編集する上で重宝します。

パラメーターウィンドウ

アイコンをクリックするだけでパラメーターウィンドウが使えるようになりました。各楽器の細かな設定をこのウィンドウ上で行うことが出来ます。ここの項目のひとつひとつの選択によって、曲のイメージや雰囲気ががらりと変わります。制作者のセンスが反映される部分でもあります。

その他の新機能

その他、目玉の機能以外にも「オーケストラ・テンプレート」にピアノやハープ、アルトフルート等が追加されるなど、ヴァリエーションが広がり使いやすくなっています。アップグレードの概要はメーカーの解説ビデオをご覧下さい。



スピード制作

とりあえず、サクッとこんな感じの曲を作ってみました。

 

使用音源

  • Native Instruments :Strings Ensamble
  • Native Instruments :Tha Grander

初期設定

OrbComposerには本体に再生用のプラグインが装備されています。音はあまりよくありませんが負荷は軽いです。ちょっとしたデモ作成には重宝するかもしれません。

しかしこれはオーケストラやストリングスではほぼ使えません。付属のDAWテンプレートを使うかプラグインを挿して使うかです。この場合、初期設定でOrbComposer専用プラグインを読み込まないように設定する必要があります。

Edit–> Show user setting –>Load Orb Plugins in New projects の項目を外す

こうすることでOrbComposerのプラグインが読み込まれることがありません。後述しますが、こうしておくことでプラグイン音源に差し替えるときの面倒な作業が省けます。

VSTプラグインの使用

OrbComposer  ではレガートやピチカート、スピカートなどすべてのアーティキュレーションに対してひとつのプラグインを使える設定です。しかしプラグインを挿す場合は、ひとつの楽器アーティキュレーションに対して、複数それぞれ音源を割り振るのは現実的ではありません。マシンの負荷もハンパではありません。

レガート、スピカート、ピチカートの3種類のみにプラグインを割り振り、あとは必要の応じてキースイッチでアーティキュレーションを切り替えていくことにします。これは後述するMidi Editorで調整できます。デモチェックならこの3種類のアーティキュレーションでも充分と思います。

今回は「Strings」を選んで各パートに音源を設定しました。

初期設定でOrbComposerのプラグインを読み込まないように設定したのは、ここにチェックがはいっているとすべてのアーティキュレーションにOrbプラグインが適応されています。プラグイン音源で3つだけのアーティキュレーションを使用するときに、残りを全部を手動でOFFにしていかないといけません。コレはとても面倒な作業なので、オーケストラや弦のアレンジの場合は最初から読み込まないように設定していたというわけです。

ここでアーティキュレーションを割り当てたものはテンプレートとして保存します。コレをベースにして使用、製作ファイルは別名で保存していきます。

Midi Editorで微調整

「Strings」にプラグイン音源を割り当てたテンプレートを使用して、ここにピアノパートを加えました。

最初に調と拍子を選んで、テーマのブロックをはめ込んでいきます。パラメーターウィンドウで大まかに調整したあとはMidi Editorで微調整していきます。

Midi Editorで音を移動させたり、削除したり出来ます。フレージングやリズムも調整することが可能です。コントロールチェンジにも対応していますので、パラメータウィンドウで調整するよりもさらに追い込んだ表現が可能です。

今回はピアノがブロックごとにオクターブ高低があって不自然でしたので、Midi Editorをつかって高さをそろえました。また不必要な音も削除しました。またヴェロシティカーブを波立たせて音に動きを出しました。

OrbComposerでは各パートのヴォリューム調整しかないので、各楽器の定位はコントロールチェンジのCC#10で調整します。音源に定位の調整がある場合はそちらで調整することも出来ます。

低スペックのマシンでの使用

今回のデモはかなり低スペックのマシンを使用しています。2010年製のMacminiです。

ほぼ10年前のマシンでも問題なく使用できますので、ソフトウェアの負荷は軽いといえます。この状態で上の動画のキャプチャも出来ました。

使用したマシンについては下記記事をご参照下さい。

Mac mini 2010 メモリーを16Gに増設

感想

前回のヴァージョンでスタンドアローン型のソフトウェアとして一歩前進しましたが、今回でさらにパワーアップしています。

リリース当時の「ビックリ箱」的でソフトウェアの可能性を強調する感じではなく、「ここからはヨロシクね」みたいなユーザーにゆだねる感じに変わりました。midi Editerの搭載で道具としての立ち位置を明確にしてきましたね。とても好印象です。

またパラメータウィンドウでの選択肢次第で音楽のイメージが大きく変わります。ここをどう調整するかによって、個性が出ますので制作者のセンスが問われる部分でもあります。

だいたい感じたところをまとめてみると

  • Midi Editor搭載で編集機能が強化
  • AIエンジンがかなり進化している
  • うまく使えば制作者の個性が反映される
  • マシンへの負荷は軽め

ある種のパターン的な作業はAIに任せて、創造的な部分は人間にゆだねるという姿。今後のAIのあり方のように思います。

創作で活用するために

OrbComposer 創作で活用するために

引き続き、新機能のスマートメロディの考察やOrbComposerを使いこなすために必須な「パラメータウィンドウ」について解説しています。

OrbComposer DEMO版のダウンロード、アップグレード及びご購入

AIの著作権

補足としてAIの著作権にも触れておきます。結論から言いますとAIには著作権はありません。AIによって制作された創作物は制作者に著作権があります。ソフトウェアの場合、開発者との関係も関わってきますが、OrbComposerの場合、制作された音楽の著作権は制作者に帰属するとしています。

過去記事においてAIの著作権に触れていますので、よろしければご一読下さい。

AI(人工知能)作曲の音楽著作権に関してはこちら↓

人工知能が音楽を奏でるとき

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この記事を書いた人

[Music Freaks]
日々、ピアノを弾くことで生計を立てています。アコーディオンも弾きます。そしてひたすら音楽製作してます。人の多い場所と鈍感な人、苦手です。音楽と共に生きてくことは愉しい、すべての人がそう思えるような世界を考えていきたいです。

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